FANTAS reproファンドのポイント
ココがポイント
・時流に合った空き家再生プロジェクト
・鉄骨ALC造店舗併用戸建物件
・周辺の取引事例や売り出し価格との比較で想定価格はおおむね妥当
ココに注意
・野田市・上花輪地区の人口と最寄の野田市駅の利用者は減少傾向
・2年を超えない範囲で運用期間の延長がありうる
FANTAS repro 12号ファンドの概要
募集額(優先出資) | 608万円 |
募集総額 | 760万円 |
劣後出資比率 | 20% |
募集開始日時 | 2019年3月19日 18:00 |
予定利回り | 8.0% |
運用期間(※) | 235日 |
最低投資額 | 1万円 |
※1ヶ月前までに通知することにより、2年を超えない範囲で契約期間を延長できる。
投資対象不動産
種別 :FANTAS repro
物件 :千葉県野田市上花輪625-4 鉄骨ALC造戸建 店舗併用住宅 駐車場2台
最寄駅 :東武野田線 野田市駅 徒歩13分
竣工日 :1983年5月(築36年)
土地面積:143.94㎡
建物面積:113.4㎡
管理人も出資中のFANTAS funding ↓
立地調査 - 野田市
対象不動産は野田市上花輪、東武鉄道野田線 野田市駅 徒歩13分の場所に所在します。
県道19号線から一本道路を入ったところにあり、周囲には戸建住宅、小規模商店、アパートが立ち並ぶエリアです。
店舗併用住宅ですが、大きな道路(県道)に面していないので、街道を通過する客向けというよりは地元住人向けのパン屋さんなどに向いているのではないかと思います。
野田市と上花輪地区の人口推移
野田市の2019年3月現在の人口は15.5万人、対象不動産の所在する上花輪地区の人口は4175人です。
野田市と上花輪地区の人口は2013年比でほぼ同じような減少傾向を示しています。
人口の傾向について野田市のホームページで「野田市人口ビジョン」が取り上げられています。
総人口の推移と将来推計
本市の人口は、昭和25(1950)年の65,294人から平成7(1995)年までは順調 に増加で推移してきたが、平成 12(2000)年には減少に転じ、平成 17(2005)年に は再び増加に転じ平成 22(2010)年は 155,491 人である。
次期総合計画では、平成42(2030)年まで人口を推計している。平成27(2015) 年から平成 42(2030)年まではこの推計を将来推計とし、平成 47(2035)年から平成 52(2040)年までを、国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」という。) の推計方法に準拠して、まち・ひと・しごと創生本部提供資料(以下、「ワークシー ト」という。)に基づいて算出し、将来推計とした。
平成 27(2015)年までは増加 で推移するが、平成 32(2020)年以降は減少で推移し、平成 52(2040)年には 136,975 人(平成 22(2010)年から 11.9%減少)になるものと推計される。
出典:野田市人口ビジョンより抜粋
平成27(2015)年までは増加で推移すると見込んでいますが、実際には平成25(2013)年以降、野田市の人口は減少しており、予想よりかなり早く減少が始まっていることになります。
野田市の空き家対策
日本各地で問題となっている空き家について、野田市でも対策を打ち出しています。
空家等の管理の適正化を図るため、倒壊等の事故、火災、犯罪等を未然に防止し、良好な生活環境の保全及び安全で安心なまちづくりの推進に寄与することを目的に、野田市空き家等の適正管理に関する条例を平成25年10月1日から施行しました。
その後、平成27年5月26日に、国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行に伴い、法との整合を図るため、条例を一部改正し、野田市空家等の適切な管理に関する条例を平成28年4月1日から施行しています。
空家を減少させる対策として、空家等の推進に関する特別措置法第2条第2項の規定に基づく特定空家に認定された建築物またはこれに付属する工作物について、市では寄附の受入れを行っています。
出典:野田市ホームページ 空家等の対策より
http://www.city.noda.chiba.jp/kurashi/anzen/bouhan/1000322.html
空き家管理に関する条例はどの自治体でも実施していますが、自治体のホームページで空き家の寄付受け入れに関する記載をしているところは少数です。
野田市は寄付受け入れのために必要な条件を課してはいますが、受け入れ認定条件を公表しているだけ対策が進んでいる方だと思います。
自治体としては空き家の固定資産税の税収を失う上に維持費がかかるリスクも負うわけなので対策しにくいという事情は理解できます。
だからこそ、空き家を積極的に活用しようとする活動に対してほんの少しのサポートがあれば、民間の力をもっと活かすことができるのではないでしょうか。
最寄駅の調査
対象不動産の最寄駅は東武野田線 野田市駅 です。
その野田市駅の2017年の1日あたり乗降人員数は10177人で9年前比99.5%とほぼ横ばいという状況で、5年前比97.7%と微減しています。
野田市駅は船橋駅まで乗換1回・約60分、大宮駅までは乗換なし・50分、東京駅までは乗換1回・約70分となっており、都心へのアクセスは可能ですがやや時間がかかります。
ファンドの安全性
本ファンドは募集額608万円であり、FANTAS fundingが20%の劣後出資を行い総額760万円となります。
鎌ケ谷市東道野辺地区の地価を推定するために、国土交通省土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)で取引価格を、SUUMO(https://suumo.jp/kanto/)で売り出し価格を調査して下表を作成しました。
情報源 | 最寄駅からの距離 | 住所 | ㎡単価 |
取引価格 | 野田市16分 | 上花輪 | 2.03万円 |
取引価格 | 野田市18分 | 上花輪 | 5.56万円 |
取引価格 | 野田市14分 | 上花輪 | 5.56万円 |
売り出し価格 | 野田市11分 | 上花輪 | 5.37万円 |
売り出し価格 | 野田市15分 | 上花輪 | 5.11万円 |
売り出し価格 | 野田市15分 | 上花輪 | 3.34万円 |
取引価格と売り出し価格に大幅な乖離はなく、また、どの物件も駅近とは言えない距離にあり、対象不動産と概ね近い条件であると推測します。
そこで、上表6物件の平均値から対象不動産周辺の地価は4.49万円/㎡と算出しました。
そうすると土地面積が143.94㎡であることから、評価額は647万円となり、土地代だけでファンドの優先出資額を超える評価額になりました。
さらに、対象不動産に類似する、野田市駅から13分前後+140㎡前後の土地+築古建物セットの売り出し価格を調査しました。
売り出し価格 | 最寄駅からの距離 | 建物築 | 土地面積㎡ |
990万円 | 野田市13分 | 38年 | 138.04 |
790万円 | 野田市15分 | 40年 | 132.0 |
900万円 | 野田市16分 | 42年 | 149.38 |
上表より、本ファンド総額760万円は周辺物件の売り出し価格より低いことが明らかになりました。
対象不動産の建物はFANTAS reproの案件では珍しい鉄骨ALC造で、築36年であることから一般的な耐用年数を過ぎていますが、鉄骨ALC造には木造と異なるメリットがありますので、少なくとも 優先出資分608万円以上での売却が可能と考えます。
ALC (Autoclaved Lightweight Concrete)とは軽量気泡コンクリートのことをいいます。
ALCは耐火性、断熱性、防火性、耐久性、遮音性が高いという特徴があり、ALCを外壁・床・屋根に使用し構造体を鉄骨にしたものが鉄骨ALC工法です。
工法が簡便でスクラップアンドビルドに適していることから、対象不動産の活用方法について選択の幅が大きいというメリットはありそうです。
出典:コトバンク 鉄骨ALC工法より https://kotobank.jp/word/鉄骨ALC工法-162118
まとめ
立地としては都心へのアクセスは可能ながら便利とまでは言えないこと、野田市・上花輪地区の人口や野田市駅の利用者は減少傾向というマイナスポイントがあります。
一方で、ファンドの想定価格はおおむね妥当であり、少なくとも優先出資分以上の価格で売却できる可能性は高いと考えています。
ただ、同時に募集されるFANTAS repro-11 鎌ケ谷市ファンドが魅力的なので、野田市上花輪ファンドは見送る予定です。