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【検証】定期借地権マンションのメリットは?

借地権物件の価値を検証

借地権の物件の価値は一般的に所有権の物件より3割程度安価に購入できると言われていますが、地代を支払わなければならないことから、トータルの経済的メリットがわかりにくいという問題があります。

そこで、今回は一般定期借地権のマンションを購入するメリットがあるか、購入時の注意点は何かを探るために、実例を挙げて所有権と定期借地権を比較しました。

 

借地権についての概略は借地権の知識編をご覧ください ↓

 

一般定期借地権(以下、単に定期借地権とします)は1992年にできた制度で、借地期間は50年以上と定められ、期間の満了後は建物を取り壊して土地を返還する必要があります。

制度開始から27年であるため、現時点で定期借地権のマンションは残存期間が少なくとも23年以上残っていることになります。

そこで、定期借地権の残存期間が比較的短い場合(30年・ケース1)と長い場合(57年・ケース2)を比較したところ、

借地権残存期間が短い場合に経済的メリットがある

という結果になりました。

 

 

所有権と定期借地権のマンション比較

所有権と定期借地権のマンションで最寄駅が同じで距離も似ている物件や住所が同エリアにある物件を探し、両者の販売価格、地代、解体準備金などからコストパフォーマンスを比較しました。

解体準備金とは・・・定期借地権の期間が終了したときは更地にして返還する必要があるため、マンションを解体する費用として購入時に払い込んだり、月々負担して積み立てているお金のこと。

 

ケース1:残存期間が30年の場合

大阪市内で人気エリアである西区にある駅からの徒歩距離、専有面積、築年数が類似する2つのマンションを比較しました。

なお、所有権マンションでは土地にかかる固定資産税と都市計画税を支払う必要がありますが、マンションの場合は建物部分に比べて土地部分の割合が小さいことから、本記事ではこれらを無視して計算します。

 

物件名 所有権マンションE 定期借地権マンションR
住所 大阪市西区土佐堀1 大阪市西区江戸堀1
最寄駅(徒歩分) Osaka Metro 肥後橋(6分) Osaka Metro 肥後橋(5分)
専有面積(㎡) 61.35 61.18
築年(経過年数) 2002年2月(18年) 1999年11月(20年)
管理費 10,200 7,700
修繕積立金 9,200 11,010
借地権残存期間 --- 30年
地代月額(年額) --- 13,770(165,240)
解体準備金月額(年額) --- 1,470(17,640)
査定売価(万円) 3810 1980

 

上記2つのマンションで管理費、修繕積立金、地代、解体準備金が将来的に変わらないと仮定したとき、マンションRの借地権が終了する30年後の支出を比較してみます。

 

物件名 所有権マンションE 定期借地権マンションR
管理費 3,672,000 2,772,000
修繕積立金 3,312,000 3,963,600
地代 0 4,957,200
解体準備金 0 529,200
購入価格 38,100,000 19,800,000
合計 45,084,000 32,022,000

定期借地権マンションRは所有権マンションEよりも約1300万円費用が抑えられる結果になりました。

定期借地権マンションRは初期費用等で経済的メリットがありますが、所有権マンションE(築48年)が1300万円以上で売却できれば経済的なメリットはマンションEの方があることになります。

 

ケース2:残存期間が50年以上の場合

続いては、大阪市城東区に所在し、築年数が浅く、駅からの徒歩距離、専有面積、築年数が類似する2つのマンションを比較しました。

物件名 所有権マンションE 定期借地権マンションS
住所 大阪市城東区中央1 大阪市城東区野江1
最寄駅(徒歩分) Osaka Metro 蒲生四丁目(6分) Osaka Metro 蒲生四丁目(7分)
専有面積(㎡) 75.59 78.10
築年(経過年数) 2015年6月(5年) 2016年9月(4年)
管理費 8,800 9,008
修繕積立金 7,900 5,470
借地権残存期間 --- 57年
地代月額(年額) --- 15,110(181,320)
解体準備金月額(年額) --- 1,560(18,720)
査定売価(万円) 3990 2980

 

上記2つのマンションで管理費、修繕積立金、地代、解体準備金が将来的に変わらないと仮定したとき、マンションSの借地権残存期間57年の中間である29年後と、期間が終了する57年後の支出を比較してみます。

 

【29年後】

物件名 所有権マンションE 定期借地権マンションS
管理費 3,062,400 3,134,784
修繕積立金 2,749,200 1,903,560
地代 0 5,258,280
解体準備金 0 542,880
購入価格 39,900,000 29,800,000
合計 45,711,600 40,639,504

 

定期借地権マンションSが所有権マンションEと比べて得られる経済的メリットは約500万円でした。

この時点でマンションを売却する場合、両マンションの売却価格差は500万円以上になると思われるため(ケース1参照)、定期借地権マンションRの経済的メリットはあまりありません。

 

【57年後】

物件名 所有権マンションE 定期借地権マンションS
管理費 6,019,200 6,161,472
修繕積立金 5,403,600 3,741,480
地代 0 10,335,240
解体準備金 0 1,067040
購入価格 39,900,000 29,800,000
合計 51,322,800 51,105,232

所有権マンションEは定期借地権マンションSよりも約22万円多いもののほぼ同額になりました。

57年後の所有権マンションE(築62年)の売却価格を予想できず、また、建て替えなどが行われる可能性もあるため資産価値を見積もるのは困難です。

定期借地権マンションSも解体して土地を返却するため資産として残るものはありません。

 

考察とまとめ

上記2つのケースについて所有権マンションと定期借地権マンションの経済的メリットを比較考察します。

 

ケース1(借地権残存期間30年)の場合

仮に30歳で購入した場合、30年後は60歳になっており、そろそろ第二の人生のために住み替えなどがある時期かもしれません。

 

所有権マンションEは築48年の築古マンションになっていますが、まだ市場で流通可能な築年数と考えられ、管理状態が良ければある程度の資産価値が期待できます。

一方で築古マンションの管理状態の悪化による資産価値の下落や空室増加、建て替えがまとまらないことによる設備老朽化の懸念があるため、不確定要素が大きいと言えます。

 

定期借地権マンションRは資産は残りませんが売却の手間がないとも言え、30年間の経済的メリット1300万円で次の住まいを検討できます。

ただし、借地権マンションも「数年後には取り壊すのだから」という理由で管理がなおざりになりやすい点が指摘されています。

 

ケース2(借地権残存期間57年)の考察

57年間住み続けるということは仮に30歳で購入したとしても87歳になっており、30歳の時と同じ生活をしている可能性はほぼありません。

また、築年数60年を超えたマンションの状態を予想するのは難しく、また、所有権マンションの場合は建て替えなどがあれば建物自体が存在するかもわかりません。

 

定期借地権マンションSは57年後に取り壊すことが決まっているため売却等の手間はありませんが、57年間の費用は所有権マンションと変わらないため特に経済的なメリットはありません

 

29年後にマンションを売却すると想定した場合でも、所有権マンションより安価になることが予想されるため定期借地権マンションに経済的メリットはありません。

 

まとめ

わずかな事例では断定することはできませんが、上記2ケースの比較では定期借地権マンションの借地権残存期間が長い場合には経済的メリットが出にくいという結果になりました。

ケース2で考察した通り、57年後には所有権マンションの資産価値を見積もることは困難であることから、借地権と所有権の差が出にくいことが理由ではないかと思います。

また、残存期間の減少とともに定期借地権マンションの価値は加速的に低下すると予想されることから、途中で売却する場合にもメリットは出にくくなります。

 

残存年数が少ないことはデメリットになりますが、一方で残存期間終了後の人生プランを立てられるのであれば、経済的メリットを得ることができます。

また、その時点での資産価値の心配や売却の手間がないというメリットもあります。

 

定期借地権マンション購入時のポイント

  • 残存期間が短い場合には比較的安価に購入でき、初期費用がかからず経済的メリットが得られる
  • 残存期間終了後の人生プランを立てておけば資産価値や売却価格の心配がない
  • ただし、購入時点でマンションの管理が適切にされているかのチェックは必要

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