目黒区ホステルファンド(OwnersBook)のポイント
オーナーズブックの新規ファンド「目黒区ホステルファンド」を調査しました。
ポイント
対象不動産のホステルは外国人観光客からの需要が見込め、賃料も妥当な額が得られている
外国人観光客に人気の観光スポットである渋谷エリアから徒歩圏内
貸付先1は東京都港区に所在するジャスダック上場企業
注意ポイント
シニアローン(銀行からの融資)に劣後するメザニンローン
貸付先1は2期前は経常損失・当期純損失を計上
ファンド募集概要(OwnersBook)
募集額 | 1億10万円 |
募集開始日時 | 2018年11月8日 |
予定利回り | 5.0% |
運用期間 | 13ヶ月 |
最低投資額 | 1万円 |
貸付先1
物件 :東京都目黒区青葉台 ホステル+住居 1棟(1985年7月築)
貸付額:1億円
種別 :メザニンローン
貸付先:設立3年超の総合不動産会社 東京都港区のジャスダック上場企業 2期前は経常損失・当期純損失を計上
査定額:8億8200万円 (1億円はそのうち約11.3% )
担保 :極度額1億3000万円の根抵当権(第二順位)を設定。1億円を超える募集・貸付は行わない。
返済 :事業活動によって得られるキャッシュ等を原資とする
備考 :建物全体を運営会社に一括で賃貸、ホステルのベッド数は98台(ベッド稼働率は90%程度)
貸付先2
物件 :東京都文京区本郷 マンション一室
貸付額:10万円
種別 :メザニンローン
貸付先:設立3年超の総合不動産会社
査定額:2340万円 (10万円はそのうち0.43%)
担保 :極度額1000万円の根抵当権(第二順位)に対し既に560万円を貸付済み、11月に追加貸付10万円、さらに10万円追加貸付
物件&立地調査
ホステルは、低価格で宿泊できるように相部屋やシャワー・トイレが共同になっている宿泊施設で、ゲスト同士が交流できる共用スペースがあることも特徴です。
格安で宿泊できるため、外国人観光客にも人気で、さらに近年のホステルは個性的に進化を遂げているようです。
ホステルは外国人観光客からの需要が旺盛であるため、立地が重要となります。
本ファンドの担保物件は外国人観光客に人気の観光スポットである渋谷エリアから徒歩圏内に存在していることから、立地は申し分ないと考えます。
ホステル部分の月額賃料(共益費込)は、固定賃料と売上連動賃料から構成されており、坪単価は固定賃料16300円+連動賃料3400円とされています。
ホテル1棟貸しの賃料の算出について調べると、やや古い記事ですが参考サイトでは都心であればオフィス賃料が目安になるとされています。
オフィスは専有部分の賃料であるのに対し、ホテルは延床面積の賃料で計算されることから、オフィス賃料の60〜70%程度が賃料単価の目安となります。
目黒区青葉台周辺の築30年程度のオフィスビルの賃料を調べたところ、築37年のオフィスビル賃料が坪単価18128円となっており、これの70%は12700円程度であることから、本ファンドの担保物件は十分な賃料を得ていると考えられます。
続いて、住居部分の月額賃料(共益費込)の坪単価 10,200円が妥当であるかを調査しました。
京王井の頭線神泉駅が最寄駅の一つになると推測されることから、同エリアで築30年以上の物件の賃料を調査したところ、坪単価9000円〜13200円程度という結果であったことから、担保物件の坪単価は妥当と判断します。
まとめ
本ファンドは返済原資として担保物件の売却ではなく、事業で得られるキャッシュを想定していることから、担保物件の評価額よりもホステルと住居部分の運用性に注目して調査しました。
ホステルとしての立地は申し分なく、ホステル部分、住居部分ともに十分な賃料を得られていると考えます。
他のソーシャルレンディング事業者で遅延案件が多発していることから、今のところ安定して運用されているオーナーズブックに資金が流入する可能性も考えられます。
1億円と募集額が大きい案件ですが、メザニンローンとはいえ利回り5%であれば、比較的早期に満口になるのではないかと予想しています。