CREALとFANTAS checkが同一物件のファンドを組成
5/28 募集開始のCREAL新規ファンドの対象不動産「ブライズ早稲田東」は5/21 にFANTAS checkでもファンドの募集があり、非常に短い期間に同じマンションが異なる事業者によってファンド組成されるという珍しい展開になりました。
そこで、「ブライズ早稲田東」の査定や周辺環境調査をしつつ、両ファンドを比較します。
FANTAS checkとCREALのメリットを比較
○ FANTAS checkのメリットとデメリット
- 優先出資額が各種査定額よりも低い(劣後出資比率が高い)ため元本毀損リスクが小さい
- 予定利回りが高い(5.5%)
- 現時点で空室のためインカムゲインが未定(賃料9万円で募集中)
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○ CREALのメリットとデメリット
- マスターリース契約で賃料が確保されている
- 運用期間が長いため、最終的な配当額が大きい
- 査定額と優先出資額の差が小さいため、元本割れリスクがFANTASより高い
ブライズ早稲田東のポイント
○ スーパーやコンビニが徒歩数分圏内にあり、生活利便性が高い
○ 最寄の江戸川橋駅は乗降人員数が10年前比109%超と大幅増加中
○ 江戸川橋駅から都内主要駅へのアクセスが良好
CREAL vs FANTAS checkファンド概要
ファンドの概要は以下の通りです。
CREALの募集総額は会員限定情報になっているため、これまでのファンドの実績から劣後出資比率15%と仮定した推定値を記載しています。
対象物件:ブライズ早稲田東
築年月 :2004年3月(16年)
最寄駅 :東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅 徒歩4分
FANTAS check | CREAL | |
募集額(優先出資) | 1768万円 | 1848万円 |
募集総額 | 2210万円 | 2174万円(推定) |
専有面積(㎡) | 23.04 | 23.09 |
月額賃料 | 空室(9万円で募集中) | FANTASより安い |
予定利回り | 5.5% | 4.2% |
運用期間 | 113日 | 9ヶ月 |
1万円投資時配当 | 170円 | 315円 |
FANTAS checkは利回りが高いものの現時点で空室であることがリスクです。
CREALは利回りや賃料はFANTASより低いですが、マスターリース契約により賃料収入は確保されています。
対象不動産査定による安全性調査
ブライズ早稲田東の査定額を比較検討します。
江戸川橋駅周辺の売出価格から算出した人力査定
江戸川橋駅周辺の現時点での中古マンション市場を調査した結果、当サイト独自の査定は㎡単価=92.1万円になりました。
専有面積23.04㎡(FANTAS check)=2122万円
専有面積23.09㎡(CREAL)=2127万円
FANTASとCREALそれぞれの査定額は上記の通りで、査定額よりもCREALのファンド総額は47万円高く、FANTASは88万円高い結果となりました。
ReTechを活用したAI査定
続いて、AI査定を利用して対象不動産の査定額を算出しました。
AI査定の利用価値や利用方法は下記の記事をご参考にしてください。
もっと詳しく
FANTAS checkの賃貸募集の情報から部屋の特定ができたため、これをもとにAI査定を行い、専有面積23.04㎡で割って㎡単価を算出しました。
今回は、Renosy、IESHIL、HowMaの結果を利用しました。
㎡単価 | FANTAS 23.04㎡ | CREAL 23.09㎡ | |
Renosy | 85.2万円 | 1964万円 | 1968万円 |
IESHIL | 86.9万円 | 2003万円 | 2007万円 |
HowMa | 90.8万円 | 2092万円 | 2097万円 |
3社の平均 | 87.6万円 | 2019万円 | 2023万円 |
募集総額と平均の差 | ーーー | -191万円 | −151万円 |
優先出資と平均の差 | 251万円 | 175万円 |
AI査定とファンドの募集総額の比較ではどちらもマイナス(募集額が査定額より高い)という結果でしたが、優先出資額との比較ではプラス(優先出資額が査定額より低い)になりました。
劣後出資比率がFANTAS checkの方が大きいため、優先出資額と査定額の差はFANTAS checkのプラス幅が大きくなり、元本割れリスクがより小さいと言えます。
賃料から逆算した査定額
さらに募集賃料から価格の算定をしてみたいと思います。
現在、ブライズ早稲田東ではFANTAS technology社が3階の23.04㎡の1Kを月額90000円(共益費込)で賃貸募集しています。
月額90000円の年間賃料108万円から表面利回りと物件価格の関係を計算しました。
表面利回り % | 物件価格 万円 |
4.50 | 2400 |
4.75 | 2274 |
5.00 | 2160 |
5.25 | 2057 |
5.50 | 1964 |
ブライズ早稲田東は築16年であることから、周辺物件の売り出し価格を参考に表面利回り4.5〜5.5%で物件価格を算出しました。
表面利回り5.0%の場合は物件価格2160万円で人力査定と同等、5.25%の場合は2057万円でAI査定と同等になります。
会員限定情報のため公開は避けますが、CREALの賃料は90000円より若干安い程度でほぼ同じであるため、表面利回り5.0%で人力査定と同等、5.25%でAI査定と同等という関係は変わりません。
立地調査
ブライズ早稲田東はまいばすけっと 山吹町店 徒歩2分、ファミリーマート 江戸川橋駅西店 徒歩3分、コモディイイダ 江戸川橋店 徒歩4分と生活に便利なお店が近隣に揃っています。
最寄駅は東京メトロ有楽町線江戸川橋駅で駅で徒歩約4分と通勤通学に便利な好立地です。
江戸川橋駅の2017年乗降人員数は53135人で、10年前比109.5%と大幅に増加しています。
江戸川橋駅からは東京駅まで乗り換え1回約40分、品川駅まで乗り換え1回約35分、新宿駅まで乗り換え無し約10分と各主要駅にアクセスが良好で、特に新宿へのアクセスに優れています。
まとめ
FANTAS checkとCREALの比較では、FANTASが売却益を出すことを目指すキャピタル型、CREALが賃料収益を目指すインカム型ということもあり、一長一短の結果でした。
管理人個人の印象としては、利回りが低いながら長期間マスターリース契約により配当を確保しているCREALの方が安全性が高いと考えますが、高利回り・短期間のファンドの方が良いという考えもあり、正直どこを重視するかの問題です。
複数の査定方法から算出した査定結果から、優先出資額以上での売却は十分可能で元本割れのリスクは小さいと判断します。
ただ、キャピタル型のFANTAS checkとしてはファンド総額以上での売却を目指す必要がある点には注意が必要です。