大阪のタワーマンションを調査
タワーマンションは都市部の好立地に次々と建設され、豪華な共用施設や眺望の良さから実需としても、資産価値上昇を見込んだ不動産投資としても注目が集まりました。
大阪のタワーマンションの立地を調査し、最寄駅からの徒歩分数や社会増減率(人口増減率)のデータを分析することでタワーマンションが建つエリアの特徴を考察します。
ポイント
・タワーマンションは北区・中央区に半数以上が集中し、大阪市内でも偏りがみられる。
・社会増減率(人口増減率)が増加しているエリアにタワーマンションが多い。
・社会増減率とタワーマンションの最寄駅からの徒歩分数は非常に強い相関がある。
ワターマンションの定義と調査資料
本稿ではタワーマンションを20階以上のマンションと定義しました。
資料は野村不動産アーバンネットが提供するサイトノムコムとSUUMO(スーモ)を基に調査しました。
20階以上のタワーマンションをノムコムで検索すると、1987年3月築が最も古く、2020年1月が最新のマンションが143件ヒットしました。
これらについて、所在する区、最寄駅からの距離を調査しました。
大阪市のタワーマンションの立地
大阪市24区内のタワーマンショの所在地を区別に調査し、2019年5月に大阪市の成長する街ランキングで調査した区別の社会増減率の順位と比較しました。
社会増減率とは、引越しによる転入・転出によって起こる人口増減率のことで出生や死亡による増減(自然増減)とは異なる人口増減率です。
>>大阪市の成長する街ランキング
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件数順位 | 区 | 件数 | 社会増減率順位 |
1位 | 北区 | 38 | 3位 |
2位 | 中央区 | 35 | 1位 |
3位 | 西区 | 19 | 4位 |
4位 | 天王寺区 | 14 | 5位 |
5位 | 福島区 | 12 | 6位 |
6位 | 都島区 | 8 | ーーー |
7位 | 浪速区 | 6 | 2位 |
8位 | 阿倍野区 | 5 | 8位 |
9位 | 城東区 | 5 | ーーー |
10位 | 港区 | 1 | ーーー |
件数では全体の半数以上を北区と中央区が占めており、タワーマンションの立地は大阪市内でかなり偏りがあることがわかります。
社会増減率と比べてみると、浪速区(件数7位、社会増減率2位)を除いて件数順位と社会増減率順位はかなり相関が高い結果になりました。
利便性の高く人口が集まりやすい人気のエリアにタワーマンションが建ち、タワマンの特徴である1棟あたりの戸数の多さによってさらに人口が増えるというサイクルがあるものと推測します。
立地と最寄駅からの距離
続いて、タワーマンションの立地(区)と最寄駅からの徒歩分数の平均値を比較しました。
件数順位 | 区 | 駅徒歩分 | 社会増減率順位 |
1位 | 北区 | 4.2 | 3位 |
2位 | 中央区 | 3.0 | 1位 |
3位 | 西区 | 4.2 | 4位 |
4位 | 天王寺区 | 4.6 | 5位 |
5位 | 福島区 | 4.8 | 6位 |
6位 | 都島区 | 8.8 | ーーー |
7位 | 浪速区 | 3.8 | 2位 |
8位 | 阿倍野区 | 3.0 | 8位 |
9位 | 城東区 | 4.6 | ーーー |
10位 | 港区 | 1.0 | ーーー |
タワーマンションの最寄駅からの徒歩分数と社会増減率順位を比べてみると、港区と阿倍野区を除いて駅からの近いほど社会増減率が高くなっており、非常に高い相関がありました。
最寄駅からの距離はマンション購入の決め手の一つになりますが、比較的駅近に建つことが多いタワマンであっても例外ではなく、駅から近い物件は人気が高く、人が集まる傾向があると考えられます。
タワーマンションの件数では1位の北区ですが、駅からの徒歩分数は上記10区の中では5位と、必ずしも駅近物件ではないことがわかります。
北区はマンションだけでなく商業施設の開発も進んでいるため、駅近くにタワーマンションを建築する土地の確保が難しいのかもしれません。
現在売出中のタワーマンション
大阪市内で現在(将来)売り出されている20階以上のタワーマンションをSUUMO(スーモ)で検索すると23件がヒットしました。
区ごとの件数と最寄駅までの徒歩分数は以下のようになりました。
件数順位 | 区 | 件数 | 駅徒歩分 |
1位 | 中央区 | 12件 | 4.6分 |
2位 | 北区 | 5件 | 6.0分 |
3位 | 西区 | 3件 | 4.7分 |
4位 | 天王寺区 | 1件 | 4.0分 |
4位 | 福島区 | 1件 | 7.0分 |
4位 | 住吉区 | 1件 | 2.0分 |
23件のうち半数以上の12件は中央区に集まっていて、これを既存のタワマン集計に加えると中央区が最多件数になります。
中央区の既存のタワーマンションの駅からの徒歩分数は平均3.0分でしたが、現在売出中の物件は4.6分とやや遠くなっています。
中央区でも駅近にタワマンを建築する土地は少なくなっているのでしょうか。
ポイント
現在売出中のタワーマンションの中での注目は住吉区「(仮称)長居駅前プロジェクト」です。
Osaka Metro御堂筋線長居駅から徒歩2分という好立地で、JR阪和線長居駅へも徒歩6分、近隣に長居公園があるなど、利便性も周辺環境も良好です。
まとめ
大阪市内のタワーマンション(20階建以上のマンション)の立地、駅からの徒歩分数、所在する区の社会増減率を調査し、それらの関係をデータ分析した結果、次の特徴が明らかになりました。
- タワーマンションは北区・中央区に半数以上が集中し、大阪市内でも偏りがみられる。
- 既存マンションに売出中のマンショも加えると中央区の件数が最も多い。
- 社会増減率(人口増減率)が増加しているエリアにタワーマンションが多い。
- 社会増減率とタワーマンションの最寄駅からの徒歩分数は非常に強い相関がある。
- 北区や中央区などの人気エリアに今後建つタワーマンションは駅からの距離が遠くなる可能性あり。