2020年 大阪市の基準地価 コロナ禍の影響は?
国土交通省が9月29日に発表した2020年基準地価(商業地)は、コロナ禍の影響を受けて住宅地以上に大きな影響を受けました。
本記事では大阪市の商業地における基準地価ランキングと区別基準地価変動率を調査してコロナ禍の影響を考察します。
ポイント
- 淀川区宮原のオフィスビルはコロナ禍にあっても地価上昇率10%超(大阪の1位)
- 大阪都心6区はいずれも前年比変動率のマイナスが大きい
- 淀川区・天王寺区はまだ上昇幅が大きく、北区や浪速区より影響は受けていない
- 都心6区に隣接する区には要注目
大阪市 商業地 基準地価TOP3と上昇率TOP3
全国的に見ると商業地は在宅勤務の導入、店舗の閉鎖、インバウンドの激減などの影響で地価が大幅に下落しました。
大阪市ではどのような変化が起こったのか、基準地価TOP3、上昇率TOP3、区ごとの変動率を見ていきます。
大阪都心6区とは 北区、福島区、西区、中央区、浪速区、天王寺区 を指します
大阪市基準地価TOP3(商業地)
大阪市内の商業地における基準地価上位3地点とその地価は次の通りです。
順位 | 価格(円/㎡) | 住所(住居表示) |
1 | 23,600,000 | 北区大深町4-20(グランフロント大阪南館) |
2 | 23,300,000 | 中央区宗右衛門町7-2(住友商事心斎橋ビル) |
3 | 16,600,000 | 北区梅田1-8-17(大阪第一生命ビル) |
1位・3位の北区は2019年の小売店増加率ランキング1位、中央区は同ランキング2位と商業地として成長著しいエリアです。
1位のグランフロント大阪南館は大阪の方には説明不要ですが、2013年竣工、地上38階 地下3階の店舗・オフィスビルです。
2位の住友商事心斎橋ビルは元「クリサス心斎橋」という店舗ビルで、2018年の公示地価において、大阪の商業地の最高地価を記録し、「ミナミの地価がキタを上回った!」と話題になった地点です。
※大阪では大阪駅・梅田駅周辺を「キタ」、なんば駅周辺を「ミナミ」と呼びます。
3位の大阪第一生命ビルは2007年〜2012年まで大阪の地下最高地点となっていた、1990年竣工、地上19階地下 5階のオフィス・店舗ビルです。
1位から3位までを地図上に表すと次のような位置関係になります(Google Mapsより作成)。
キタに位置する1位、3位は2019年9月に発表された基準地価よりも上昇率は鈍ったものの額は上回る結果になりました。
一方で、ミナミに位置する2位の住友商事心斎橋ビルは2019年より下落する結果となり、コロナ禍はキタよりミナミに大きなダメージを与えたと見ることもできます。
2018年、2019年はミナミが最高地価となったようにインバウンド需要等を取り込んで地価が急上昇したのがミナミエリアであったため、その反動も大きくなったと考えます。
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大阪市基準地価上昇率TOP3(商業地)
大阪市内の商業地における基準地価上昇率が高い順3地点とその地価は次の通りです。
順位 | 上昇率(価格 円/㎡) | 住所(住居表示) |
1 | 14.6%(2,120,000) | 淀川区宮原3-5-24 |
2 | 10.7%(16,600,000) | 北区梅田1-8-17 |
3 | 10.6%(6,250,000) | 中央区南久宝寺町3-6-6 |
上昇率1位は淀川区宮原にある1986年竣工、14階建ての賃貸オフィスビル「新大阪第一生命ビルディング」で、約15%も上昇しました。
2位には地価1位の北区梅田は高額地価3位の大阪第一生命ビル、3位は中央区にある1985年竣工、地上12階 地下1階建オフィスビル、御堂筋センタービルが入りました。
いずれも10%以上の大幅上昇でしたが、2019年の上位3地点はは30〜40%上昇していたことと比較するとコロナ禍の影響を受けていることがわかります。
ただし、2015年〜2018年の間、上位は20%前後の上昇率が続いていたことから、そろそろピークアウトするのではないかとの予想もあり、コロナ禍だけが原因とは言い切れません。
続いて、区ごとの変動率を調査しました。
大阪市区ごとの商業地 基準地価変動率
大阪市の区ごとの商業地 基準地価の上昇率と前年比変動を地図上で見ていきます。
大阪市 商業地 基準地価の変動
商業地の基準地価が前年より1%以上上昇した区を赤色、前年より下落した区を青色に着色しました。
大阪市の商業地において1%以上地価が上昇した区は12区あり、大阪都心6区は全てが上昇、加えて淀川区、港区、阿倍野区、城東区、鶴見区、都島区が1%以上上昇しました。
一方、下落したのは西淀川区、大正区、生野区、東住吉区、旭区であり、中心部は含まれませんでした。
住宅地と同様上昇したのは大阪市の中心部であり、中心から離れると下落する傾向が地図から読み取れます。
大阪市 商業地 基準地価の前年比変動率
2019年と今年の変動率(上昇率)の変化を次式、「2020年上昇率-2019年上昇率」から計算しました。
商業地では昨年より上昇率が大きくなった区はありません(最大で横ばい=0.0)。
地図上に、横ばいの区を赤色で、1ポイント以上、10ポイント未満低下した区を薄い青色で、10ポイント以上低下した区を濃い青色で着色しました。
前年に対する変動は上昇率とは逆に中心部の低下が大きく、周辺部は小さい傾向が見られます。
大阪都心6区のうち、天王寺区(-5.7ポイント)、福島区(-7.6ポイント)を除く4区が前年比10ポイント以上の下落となり、コロナ禍にあって、上昇率が大幅に鈍化したことを示しています。
これまで過剰に上昇していた商業地の地価が調整局面を迎えている可能性があります。
商業地で注目の区は
此花区と旭区は前年から変動なし(0.0ポイント)でしたが、2020年の変動率はそれぞれ0.0%と-0.4%でした。
元々上昇していなかったため下落もしなかったという結果であり、商業地としての注目度が高いとはいえません。
一方、2020年の変動率上位3区は、淀川区(7.2%)、北区(5.3%)、天王寺区(4.3%)であり、特に上昇率1位の「新大阪第一生命ビルディング」がある淀川区はコロナ禍にあっても健闘しています。
コロナの感染拡大第2波、第3波が来ている状況ではキタ・ミナミのある北区や中央区(浪速区)の商業地は苦戦が続く可能性が否定できません。
今年から2021年にかけては商業地の中心(キタ・ミナミ)よりも影響を受けにくい淀川区、天王寺区に注目したいと思います。
まとめ
2020年大阪市 商業地 基準地価の調査結果から注目したいエリアをまとめました。
- 淀川区宮原のオフィスビルはコロナ禍にあっても地価上昇率1位を獲得
- 大阪都心6区はいずれも前年比変動率のマイナスが大きい
- 淀川区・天王寺区はまだ上昇幅が大きく、北区や浪速区より規制を受けにくいメリットあり
- キタ・ミナミに隣接する区に要注目