コロナショックで外国人観光客が6割減少!ファンドへの影響は?
コロナウイルスの蔓延によって発生したコロナショックは、為替の大変動や株価の暴落だけでなく、外国人観光客が約6割減少した、とか国内の自粛ムードにより観光業や飲食業への影響が非常に大きい、と報道されています。
クラウドファンディング、ソーシャルレンディング界もホテルや民泊を運用するファンド、ホテル用の土地に出資するファンドなどが組まれており、観光業との密接な関わりがあります。
管理人もCREALとX-Crowdで宿泊施設を運用するファンドに出資しているため、それぞれのホテル・民泊がどのような状況になっているのかを調査しました。
この記事のポイント
- CREALとX-Crowdからコロナウイルスの影響についてメールがあった
- CREALもX-Crowdもリスク対策を講じているため現状ではコロナショックによる投資家への影響はない
- 各ファンドのリスク対策(具体的内容)を一覧にして比較
- 各宿泊施設の稼働状況は春の行楽シーズンとしては低調と言わざるを得ない
各事業者の対応
管理人はCREALの「ホテルアマネク浅草吾妻橋スカイ」「Q Stay and lounge上野」、X-Crowdの「珠数庵」「すみ蛍おぼろ」に出資しており、状況が気になっていました。
2月後半にCREALとX-Crowdからコロナウイルスの影響についてメールで報告があり、この対応は投資家に対する配慮として好感が持てました。
CREALからのメール
2020年2月27日付でCREALから「【CREAL】新型コロナウイルスの影響につきまして」というメールが配信されました。
ポイント
- 賃料収入を原資とした配当に対するリスク対策および損失への対策を行っている
-
- マスターリースを活用(賃料を固定)
- 安定性のあるテナント(転借人)選定
- 優先/劣後方式を採用
- 本日現在、投資家への配当に影響を及ぼすような状況はない
- 運用状況に重大な影響を及ぼすような事象が発生した場合には、改めて知らせる
CREALの「ホテルアマネク浅草吾妻橋スカイファンド」「Q Stay and lounge上野ファンド」はどちらもマスターリース契約と優先/劣後方式が採用されています。
X-Crowdからのメール
2020年2月28日付でX-Crowdから「【X-Crowd】新型コロナウィルスの影響について 」というメールが配信されました。
ポイント
- エリアを問わず、海外訪日客の数が一時的に激減している
- テナントとの賃貸借契約に基づく定額家賃を主な配当原資としている
- 運営会社のインテリックス社と取引実績あるテナントを選定している
- 優先劣後構造を採用することで、損失が発生した場合には、劣後部分から先に毀損する
- 現時点において、テナント並びにインテリックス社の信用状況に特段の影響を与える事態は発生していない
- X-Crowdのファンドの運営状況にも特段影響を与える状態ではない
- 運営状況に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、改めて知らせる
X-Crowdの「珠数庵ファンド」「すみ蛍おぼろファンド」はどちらも優先/劣後方式が採用されています。
宿泊施設の予約状況
ファンドが運用する宿泊施設の4月の予約状況を調査しました。
楽天トラベルの空室カレンダーから検索を行い(珠数庵のみAir bnbを使用)、空室状況を確認しました。
ホテルアマネク浅草吾妻橋スカイ
ジャパニーズルーム(和室)の空室状況(2020年3月17日取得、○は5室以上空きあり)
ツインルームの空室状況(2020年3月17日取得)
和室もツインルームも3月終わり〜4月初めの日程では何室か予約が入っている状況ですが、4月は週末でも十分な空室があり、GWに入る最終週でも空室が目立つ状況です。
春の行楽シーズンでこの状況はコロナウイルスの影響が大きいと考えられます。
Q Stay and lounge上野
ドミトリールームの空室状況(2020年3月17日取得、○は5室以上空きあり)
プライベートツインルームの空室状況(2020年3月17日取得)
ドミトリールームの部屋数はわかりませんが全ての日程で5室以上空きがあり、プライベートツインルームはもともと1室のみなのか、全ての日で1室空きありという状況です。
特にドミトリールームは外国人観光客や若者の利用が想定されることから、コロナウイルスによる影響が大きいと考えられます。
珠数庵
一軒貸切 空室状況(2020年3月17日取得)
4月の前半には何件か予約が入っているようですが、GWが始まる4月の最終週は全く予約がない状況です。
すみ蛍おぼろ
一軒貸切 空室状況(2020年3月17日取得)
すみ蛍おぼろでも4月の前半はそこそこ予約が入っているようですが、GWが始まる4月の最終週は全く予約がない状況です。
京都に所在する珠数庵とすみ蛍おぼろは、国内の観光客からも需要がある思われますので、日本国内でのコロナウイルス感染が終息して自粛ムードが解消されれば客足も戻ると思われます。
それでも海外観光客の存在は大きく、パンデミックが収まるまでは元の状態に戻ることは期待できません。
各ファンドのリスク対策
各ファンドのリスク対策と運用期間を一覧にしました。
宿泊施設 | 劣後出資比率 | マスターリース契約 | 運用終了予定日 |
アマネク浅草吾妻橋スカイ | 10% | ○ | 2020/12/31 |
Q Stay and lounge上野 | 9.5% | ○ | 2021/1/31 |
珠数庵 | 30% | × | 2020/11/30 |
すみ蛍おぼろ | 31% | × | 2021/8/31 |
CREALのホテルファンド2件(アマネクとQ Stay)は劣後出資比率は低いものの、マスターリース契約により賃料を安定確保するというリスク対策が施されています。
一方、X-Crowdの民泊ファンド2件(珠数庵とすみ蛍おぼろ)はマスターリース契約ではないものの劣後出資比率が30%以上と高く設定されているため、元本の毀損リスクが小さいと言えます。
管理人が出資する4つのファンドのうち、一つは2021年8月まで運用されるため、さすがに新型コロナウイルスは終息していると思われますが、残りの3件は1年以内に運用が終わるためその時点でどれくらいコロナショックから立ち直っているか不透明です。
まとめ
コロナウイルス蔓延による観光客の減少は宿泊施設に大きなマイナスの影響を与えていることが予想され、管理人が出資しているファンドが運用する施設も例外ではありませんでした。
CREALとX-Crowdからは現状ではコロナウイルスの影響がないことが報告されており、この対応は他の事業者でも取り入れて欲しいところです。
現時点では上記のリスク対策があるために大きな心配はありませんが、今後も継続的にファンドへの影響が報告されることを希望します。
不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディングにとっては試練を迎えているかもしれませんが、情報提供により、投資家の信頼を得てさらに発展して欲しいと願っています。